新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、従業員を雇っている方々にも大きな影響が出ています。そして、この緊急事態に対応するため、これまでにないスピードで、雇用調整助成金の制度変更(要件緩和)が行われています。
雇用調整助成金は、「事業を縮小しなければならなくなった経営者」が、「従業員を雇い続けるため」に、「休業させた時に支払った休業手当」の補填を目的とした助成金です。
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要件が緩くなり、提出する書類もかなり少なくなりました。5月中旬にはオンライン申請もできるようになるようです。
ただ、緩和されたり簡素化されたりしたとしても、そして、簡単にオンライン申請ができるようになったとしても、原則となる部分は変わっていません。
そこで、雇用調整助成金の活用を検討する方に向けて、押さえておきたいポイントについてご説明します。
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①まずは助成金の概要を理解する
全国社会保険労務士連合会が、雇用調整助成金の概要についての分かりやすい動画をアップしています。最初に、こちらをご覧ください。
全国社会保険労務士連合会|【動画解説】新型コロナウイルス感染症関連助成金・支援金
非常に明瞭な解説ですので、時間のない方は、再生速度を速めて観ていただいても理解しやすいかと思います。
②次に、支給申請のポイントと提出書類について確認する
5月8日に、厚生労働省のホームページに新たに解説動画がアップされました。
こちらも、とても分かりやすい説明となっていますので、ご覧いただくことをお勧めします。
③必要書類を用意する
届出や申請には、厚生労働省の様式ダウンロードにアップされている書類以外の書類も必要です。
三重労働局のホームページに、計画・申請に必要な書式が掲載されています。(チェックリスト、休業協定書、労働者代表選任届、確認書、等)
④必ず確認したいポイント
助成金には様々な要件(もらうための条件)がありますが、絶対にはずしてはいけないことがいくつかあります。
★売上5%ダウン
計画届を提出する月の前月(6月に提出するなら5月)について、今年の売上が去年の同じ月の売上よりも5%以上ダウンしている。
→売上が下がっていないと、もらえません。
★休業等規模要件
休業等規模要件をクリアするように、休業計画を立てる。
→休業日数が少なすぎると、もらえません。(休業=お店や会社を閉めることではありません。従業員を休ませることを休業といいます。)
★休業計画
計画届や休業協定書には、休む予定の日(日数)をもらさず書く。
→計画届に書いていない日に休業させても、もらえません。
★休業手当の支払い
休んだ日の休業手当として平均賃金の60%以上を払う。
→平均賃金の60%以上の休業手当を支払う必要があります。
★期限内の申請
助成金は、1日でも期限を過ぎると受理してもらえません。
「各判定基礎期間(原則1ヶ月)=支給対象期間の末日の翌日から2ヶ月以内」が原則ですが、計画届を事後提出した場合は、提出の時期によって「計画届等の事後提出があった日から起算して2か月以内」に読み替えることができるものとする、となっています。
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雇用調整助成金は、給付金や協力金と違って「マイナス=ダメージを軽くする」ものです。
さらに、様々な要件が複雑すぎて、活用が進まないとの話もよく聞きます。
そのような状況に対応するために、ゴールデンウィークには労働局やハローワークの方々が土日・祝日も関係なく、相談を受け付けていました。社会保険労務士も、日々奔走しています。
この危機的な事態を乗り切るために必要でしたら、労働局やハローワークの窓口、社会保険労務士にご相談いただきながら、雇用調整助成金の活用を進めてみてください。
高原 祥子
プロフィール:三重県の女性起業家・企業家ビジネスプラットフォーム【wiz:】(ウィズ)