火曜日, 8月 11オール三重で!テイクアウト&デリバリー&オンラインサービスを始めたオーナーを応援!

プレミアム付き食事券で危機から脱出! 若い力で宅配&会員システムの新構築も


コロナ禍による受難、そして経営の危機に三重の経営者達はどう乗り越えたかを紹介する連載コーナー。第2回目は、『食』のエンタテインメントスペース『三重うまし国横丁四日市宿』を営む吉田金二朗さんにお話を伺いました。

三重うまし国横丁四日市宿

主要顧客の宴会客と観光客がコロナ禍によりキャンセル続出、追い込まれた吉田社長が打ち出したのは【プレミアム付き食事券】の発売でした。社長も驚く売れ行きで、これを追い風にテイクアウト・デリバリーを拡大。「大きな危機を経て、僕もスタッフも成長できた」と振り返ります。「四日市で一番、三重県内の生産者達と太いパイプを築いている」と自負する社長が目指すのは、“お刺身盛り合わせ(鮮魚加工品)”のデリバリー&通販。危機突入から現在、そして将来の戦略まで語ってもらいました。

「三重うまし国横丁四日市宿」事業のなりたち

四日市市出身の吉田金二朗さんが2014年に(株)郷土活性化を設立。同年、『食』のエンタテインメントをテーマにした複合店舗『三重うまし国横丁四日市宿』をオープン。現在はその中の2店舗、三重県産の魚介を目玉とした『おいないさ』、肉料理の『諏訪ホルモン』を経営する。地域イベント『三重の大酒蔵市』『四日市まちなかバル』では実行委員長を担い、郷土の活性化を応援。そのためには人材育成が欠かせないと、楽読スクール、シェアオフィス&コワーキングスペース『grabspace』、インターネットラジオ局『ホンマルラジオ三重』も展開。事業の柱は『おいないさ』の居酒屋収益。

まずは事業内容について、吉田社長からお願いします。

メインは飲食業です。とは言え飲食店をやりたい訳ではなく、地域の活性化や生産地の活性化をしたい。社名である(株)郷土活性化の通りです。実現するためには人材の育成が欠かせない、それが信念です。

新型コロナの影響を感じ始めたのはいつ頃でしたか?

1月に中国武漢市のことがニュースで報じられて、少し影響を感じ始めました。それでも2月中旬までは週末ほぼ満席でした。けれど2月半ばからキャンセルが続出し、2月の総キャンセル数は約600名に。3月になると予約も入らなくなりました。3月末に志村けんさんが亡くなり、市内のコロナ感染者がニュースになり始めてからはパタリと人が消えました。町に人がいなくなりました。

当時の心境を改めて振り返っていただけますか?

起業して10年になりますが、初めて倒産危機を肌で感じました。お客様に「来店して」とも言えず、なす術がなかったです。だんだん“もう店を畳んだ方が良いのでは”と考えるようになり……。従業員には「今回は乗り越えられないかも。もう潰れるかも。その時はごめんね。でも頑張ってみるから」と正直に話しました。当時はめっちゃ落ち込んでました。

その危機に対してどんな手を打ちましたか?

必要だったのはキャッシュ。とにかくキャッシュを作らなければ。そのためにどうしたらいいか必死で考えました。追い込まれていました。それで前売り食事券を販売しようと思い至りました。購入金額以上のおトクがお客様側にある方が売れるだろうと購入額の10%を当店で上乗せし、さらに『VIP会員』にご招待としてお会計時に5%OFF、LINEでお得な情報を発信などのサービスを付加しました。チケットの販売期間は3月27日〜4月末まで。宴会をキャンセルされたお客様にセールスしました。「領収書の発行もできますから」と。

食事券を発売してみると「購入したいが来店はちょっと」という声をいただき、ネット決済(PayPal)と郵送にも対応することに。『オール三重ドットコム』からもネット販売できて助かりました。

プレミアム付き食事券の販売は、どんな手応えでしたか?

想像以上の売れ行きでビックリしました。お客様は次回の宴会時に、ちょっとおトクに使えるメリットがあります。それから宴会をキャンセルする申し訳ない気持ちも皆様持っておられるようでした。激励のお言葉をたくさんいただき、とても感激して奮い立ちました。1ヵ月のあいだ販売したプレミアム付き食事券の売上は100万円にもなりました。 売れ行きにビックリした僕は、4月に入るとすぐさま四日市市の森智広市長の元へ、飲食店や商店街の危機的な状況を伝えに行きました。「四日市の飲食店を助けて下さい。プレミアム付き食事券を四日市市全体でやりましょう」と。すると市長がすぐさま実行に移して下さり……。やがて3億円近く支援いただいた四日市市のクラウドファンディング「飲食店応援『さきめし券』プロジェクト」に繋がるとは(※注:このプロジェクトの舞台裏は後日記事にUPします。お楽しみに)。プレミアム付き食事券の発売は僕にとって特別な転機になりました。

その後テイクアウトやデリバリーでの販売も開始されたそうですね。

三重県の営業自粛要請が4月22日から始まり、飲食店には2つの選択肢がありました。一つは店を当面閉めてスタッフは自宅待機すること、もう一つはデリバリーやテイクアウトで営業を続けること。うちの正社員に「どうしたい?」と聞くと、「店をやりましょう」と返ってきた。プレミアム付き食事券で売上100万円を達成した時の熱気が続いていました。「デリバリーを始めます」と僕がFacebookで発信すると、バイクや車の貸出を申し出て下さる方もあり、ここでも心強い応援を感じました。本当に励まされました。

近い将来について色んなパターンを想定していました。近日中に外出禁止のロックダウンが発令されるかも。その前にデリバリーの仕組みを構築したい。デリバリーにあたってはお客様との接触を最大限に減らす方法で。一度注文して下さったお客様と繋がりたい。会員システムを作りたい。僕にはシステム作りのことはよく分かりません。だけど僕がアイデアを伝えると、キャッシュレス決済やSNSが身近な若い社員が役割分担してシステムを構築してくれました。コロナ禍よりずっと前から、僕と社員達はLINEを使って業務連絡や悩み相談をしていたんです。 社員達へはこれまで以上に、短期スケジュールで目標を設定しました。目標をいくつもクリアできる力添えです。会員数の目標、デリバリー売上の目標など。チラシのポスティング作業一つとっても、やりがいを見いだせるものです。個々が目標を達成し、全員で売上を達成すると、皆の大きな自信に繋がりました。

デリバリーの注文&決済方法は…

・LINEで注文し、LINE Payで決済
・スマホ注文システム『dinii(ダイニー)』の導入&クレジット決済
・『オール三重ドットコム』の注文フォームを活用

注文が入ると社員と僕の全員の携帯に通知が来て、発声せず連絡事項を共有できました。顧客情報はその都度スタッフが予約台帳に入力します。今回の自粛期間中だけで約200名様分の会員データが蓄積されました。

会員データを蓄積する意味について教えて下さい。

もしコロナ禍の第二波が襲来した際も、情報発信して営業活動を継続できます。元々の構想は、ロックダウン時に買物代行や見守りサービスへと発展させることでした。しかしこれは実現に至らず。もっとも近い将来では、当店でお刺身盛り合わせのデリバリーが可能になることをPRする予定です。会員データを蓄積することは経営戦略上とても重要なことだと思います。

お刺身盛り合わせのデリバリーとは何でしょう?

飲食店の営業許可では通常、鮮魚の加工販売は認められていません。そこで鮮魚の加工販売ができるよう調理場を改装し営業許可を取得しました。近日中に当店自慢の刺し身盛り合わせをデリバリーできるようになります。当店『おいないさ』一番の自慢は、南伊勢の漁業の方をはじめ、県内各地の一次生産者4〜50軒と直接繋がっていること。新鮮な魚介や農産品を生産者から直接仕入れています。今後は店内飲食だけでなく各ご家庭でも『おいないさ』自慢の味を楽しんでいただけます。遠方のお客様に向け、通販システムも構築する予定です。ここまでの仕組みを第二波襲来までに完成させようとしています。

鮮魚加工販売のスタートを記念して、2020年7月12日(日)には、同じく鮮魚が魅力の大衆酒場&寿司店『ゑびす』さんと共同イベントを開催する予定です。お楽しみに。

2020年6月現在の来客状況はいかがですか? 今後の見通しも教えて下さい。

以前と比較すると3〜40%ほどの状況です。主要ターゲットである宴会のお客様は依然戻らず。旅行のお客様は少しずつ戻って来て下さいました。店内はソーシャル・ディスタンスを確保するため、一席ずつ開けています。満席になっても以前の70%ほどの客数になりました。 僕はもう今まで通りには戻らないと思っています。人々の外食に対する考え方がガラリと変わってしまいました。戻ったとしても7割程度。残り3割分の売上を何かで補填するため、今までとは違う何かをして収益を上げる必要があると考えています。

吉田社長の今後の展開は?

当店メニューのテイクアウト・デリバリー・通販が一つ。そして新たに、会員様向けに魚介のさばき方や調理方法を紹介するYouTubeも開始したいと思っています。

加えて来店数増加を目指し、店内をVRで紹介する予定です。そのためにVRカメラや技術システムを導入しました。これらは他の事業者様にも販売展開する予定です。四日市の商店街をVRで紹介することも画策中です。きっと面白いはず。

さらに『Googleマイビジネス』を活用したコンサルティング事業も。Googleマイビジネスは“ポスト食べログ”とも言われる集客ツール。当店は1年前からGoogleマイビジネスに力を入れています。導入サポートや口コミ増加のコツなど、僕が蓄積したノウハウを飲食店様だけでなく多様な販売店様にお届けできればと思っています。 それから会社を新たにもう一つ設立しました。従業員は0人の会社です。僕が新しいプロジェクトを立ち上げ、高いスキルを持つ個人と繋がり、高い収益を上げる。若い子が技術や能力を武器に稼ぐ新しい働き方です。アフターコロナでは、今までとは違う、新しい働き方ができるのではないかと思っています。

「オール三重ドットコム」を見ている、同じ苦境を戦う商店主さんにエールをいただけますか?

近隣では大手チェーン居酒屋が撤退しつつあります。でもこれも地元で生きる僕達にはチャンスかもしれません。弱気になって値下げを考えがちですが、僕は逆に値上げする最後の機会と思っています。値下げをすればAI経営でコストダウンを図るファストフードと戦うことになる。僕達が生き残るには、高い商品力とサービス力を求めるお客様に向けてビジネスすること。それともう一つ、デリバリーなど販売の別チャンネルを持つことも大事と思います。

コロナ禍をどう捉えるか。エライ目に遭ったと挫けるか、色々試せるチャンスの時だと思うか。今後成長できるのはどっちでしょう。そんな風に思わないとね、僕も無理くり思うことにします。


(2020年6月取材)

店舗名 三重うまし国横丁四日市宿
ジャンル 郷土料理
住所 三重県四日市市諏訪栄町13-10
連絡先 059-354-2000
通常の営業時間 11時半~15時 17時~22時
通常の定休日 火曜日
URL https://peraichi.com/landing_pages/view/oinaisa
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